京都 大徳寺塔頭 高桐院

利休ゆかりの石燈籠と野趣あふれる庭

高桐院は大徳寺の塔頭で、1601(慶長6)年に、細川忠興(三斎)が創建しました。忠興は、利休七哲の中で最も利休に気に入られた一人として知られ、武将としても、信長、秀吉、家康に仕えて重用された人物です。大徳寺ではほとんどの塔頭が非公開ですが、高桐院は通年公開している数少ないお寺です。そのため、四季折々の美しさを求めて、何度も足を運ぶ「通」が多いといいます。

表門から鍵の手に続く石畳は、息をのむほどに美しい参道です。また客殿の南には、シンプルで野趣に富む前庭が広がります。前方は平坦な苔庭、その奥に石灯籠が一つ、脇に数株の楓が絶妙の間隔で植えられています。広縁に敷かれた赤い毛氈に座り、じっと庭に見入る人々。秋には楓の木が色づき、風にそよいで人の心を慰めます。

細川家墓所には、裏面三分の一が欠けた石灯籠があります。これは、利休割腹の折に忠興に遺された秘蔵の品で、生前、秀吉に求められたのを退けるために、利休が故意に疵物としました。この燈籠は「無双」という銘をもち、忠興と正室玉(細川ガラシャ)の墓石としてここに置かれています。

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